お知らせ 動き出しはご本人から

令和元年度「動き出しはご本人から」現場実践が始まります!

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今年度は、より一層ご利用者様の思いに気づき、力を活かすケアを提供していくために、施設では新たな検討委員会『介護技術向上委員会~動きだしはご本人から』を構成しました。

5月27日から始まる今年度の介護技術指導に向け、多職員が参加する毎月のサービス担当者会議を活用して、検討委員会での事例確認を進めています。

本当の意味でのご本人本位のために

毎月行われるサービス担当者会議では、ご利用者様の日々の体調変化や、想いをくみとるケアプランについて検討をしています。

プランを実践していくためには、私たちのケアの質を向上させることが大切です。
特養は、平成27年度制度改正により入所者の重度化が進み、入所時から状態が安定されないかたが増え、よりいっそう私たちの介護技術の向上が求められるようになってきました。
その中、日々現場で行われているサービス担当者では、これまでのケア事例を振り返りながら、『動き出しはご本人から』の現場実践で、今の技術をより磨き、より向上させていこうとしています。
今回は、5月のサービス担当者会議での様子をご紹介します。

させなくなるのはわたしたち

まず、振り返った事例は、次のご利用者様の現状でした。動き出しを実践したからこそ気づいた事例でした。

入所時には歩行できていた方が、現在身体の拘縮が進み、歩くことは全くできなくなりました。
「私たちが、このかたの自由を奪ってしまった」、「たびたび面会される息子さんへお元気に歩く姿を見せられなくなった」、「私たちの介護技術が未熟だったからだ」と、ある介護員が言いました。
大堀先生は、現場実践の中で、「させなくなるのはわたしたち」であると言います。
危ないから、時間がかかるからと介護側本位の介助が増え、できないという前提で見るから全て介助し、どんどん廃用が進んでいったのです。
確かに加齢や病気によって程度の違いはありますが、徐々に機能の衰えは顕著になってきます。ですが、色々な工夫をしながら昨日出来ていたことを今日もやり続けることで、活気良く生活を続けることはできます。「できないひと」という目で見て全介助を続けるから廃用症候群へ向かってしまうのです。
今回の事例の方は、はたから見ると、意思の疎通が大変難しく、ましてや病気の進行があり、全介助はやむを得ない状況の方でしたが、介護員たちは自分たちの関わりかたが起こした廃用だと言いきりました。
あらためて、動き出しの考え方、そして実践を継続し、今後、ご利用者様をこのような状態にはさせないと決意しました。そして、このかたが、この現状を維持していけるよう関わっていこうと誓いました。
それでも、まだまだ未熟な私たちは、振り返っているそばから、つい介護者優先になってしまうこともあります。次が、そのうっかりした事例です。

一度のチャレンジを奪わない!

今回、現場実践に先立ち、これまで介護技術のご指導を頂いていた対象事例のNご利用者さまの現状を確認してたときの事です。

最近、自力摂取が減り、食事の介助が増えてきたという報告がありました。
原因としては、今年の冬、施設内でインフルエンザが流行し、ご自分で食べていただくための関わりが継続できなかったからではないかとのことでした。
ですが、N様には、時折、向かいの方のお膳を自分の方へ引き寄せようとする動きがあるとの情報がありました。
N様は、きちんと食事だと認識されていたのです。このことを大切にしようと食事をはじめ目からいろいろな情報を得られるように食席を変更してみてはどうかという提案がありました。
その他にも提案があり、いろいろ試してみることにしました。
ですが、会議終了間際、その他の検討事項を再確認しているときに、少し事件が起きました。
ある介護員が、発言しました。
「他の介護員から『N様は、もうご自分ではおにぎりを持って食べないので、お茶碗にご飯をよそっていただいてはどうか、おにぎりを介助すると固いのでご本人は食べにくいみたいだ』と言われたので変更したいのですが。」

一瞬にして空気が変わりました。

「おにぎりからご飯へ変えるのはどうして?」
「さっきまで、本人に色々認識してもらえるよう食席の話をしていたはず」
「おにぎりを手にもってもらうことを、最近、スタッフのみんなはしているだろうか」
「利用者の状態を下げるのは自分たちだということを忘れないで」
「私たちの介護技術が未熟だったから、寝たきりにしてしまった話をしたばかりだよね」
「おにぎりを持つという1回のチャレンジを私たちが奪うのはどうか」
「実際には食べられなくても、手を伸ばすだけでも大きなこと」
「自分で食べられないからと、単純に茶碗ごはんにするのは安易じゃない?」
「食事介助時、食べ始めどうしても食事という認識がない、でも、人が通るたびに首を揺らし反応しているよ」
「もう少し、みんなで頑張ろう、このユニットだけではなく、居住棟全体で本人のチャレンジを支援しよう」
こんなふうに、ディスカッションが続き、提案した職員は、「そうだ、その話をしていたのにね、他の職員から言われて安易に提案してしまった」、会議参加者も「そういえば、最近、おにぎりを手に持ってもらってもいない」と自分たちがさせていなかったことを振り返りました。
あらためて、明日から、どんなに時間がかかっても、食べることは出来なくても、まず手を伸ばし、おにぎりを持っていただこう、他のユニットにも伝えていこう、そして、現場実践では、大堀先生に、N様の状態が変わらないことを見てもらおうと、このユニットで決意を新たにしたのです。
結果として本人本位を尊重するということを理解するための良い話し合いになりました。

こんな失敗もありましたが、スタッフの皆さんは、先日ティルト型の車椅子で天井ばかり見ていたご利用様を、「何とか普通型車いすに座れるようになってほしい」と、動き出しの取り組みを続け、なんと最近、座位が取れるまでになりました。
もちろん、ご利用者様自身の力のおかげです。
ご利用様は、普通型車椅子はもちろん椅子にも腰かけることが出来るようになり、視野が広がってスタッフや他のご利用者様の様子を見て、色々な会話をしてくれるようになりました。
普通型車いすに座れない、会話できないではなく、私たちが環境をクリアしていなかった、させていなかったのです。
「もっと早くこのことに気づけば」と悔やむ職員もいましたが、結果オーライです。
今、とてもご自分らしく、良い表情をしてくださるので、これからの生活の中でも、よりご自分らしくいられるよう支援をしていけたらと思っています。
このように私たちスタッフも、今年度の実践に向けて、動きだしています!

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