精一杯のスマイルプラン~いのちを感じて~
芳生苑では、『想いをくみ取り希望を叶えるスマイルプラン』と称して、担当ユニット職員が、利用者様のご希望をうかがい、外出や食事会など心に残る取り組みを実施しています。
その中で、現在看取り時期を迎えているご利用者様へのある取り組みをご紹介いたします。
先日、ご利用者様の体調が少し良い時を見計らいドライブがてらお買い物に出かけました。
担当職員たちは、「これが最期になるかもしれない。」「いや、最期にしない。また、一緒にお出かけしよう。」と
心に秘め、万全を期してご利用者様を外に連れ出しました!
ご自分で服を選び、昼食用に大好きなお刺身に手を伸ばし
「煮つけを作りたい」とかすべ(エイ)を買ったりとこのひとときを一生懸命に笑顔で楽しんでくれました。
すこし眉間にしわがよるのは、きっと痛みがあるからなんでしょう。
でも、小さな声ですが、いつもはっきり『ありがとう』と私たち職員に言ってくれます。
私たちの方こそ、こんな経験をさせていただいてありがとうございます。
ご利用者様と一緒に作ったかすべの煮つけは大変おいしくできました。
これまでも、ラーメンが好きだと聞けば、ラーメン屋さんを開店したり手作り流しソーメンで失敗しながら笑ったり、お化粧をしたり本当の誕生日には、もうほとんど食事がとれないこの方のために工夫してアイスでケーキを作りました。
こんなふうに、なんだか、私たちも楽しみながらやってきました。
これは、生活支援の場のターミナルケアであるに違いないのですが、
なんだか言葉は、つくづく陳腐だなと思います。
どんな形容も当てはまらない。
その人の最期を迎えるまで、私たちは、ただ純粋にひとつずつ一緒に過ごしていくだけ。
ターミナルだって『動きだし』がきちんとできる。
言葉が出せないくらい痛みがあっても、
目と目を合わせて、心が動けば思うように動かなくなった手足も私たち介護者の負担を軽くするかのようにわずかに力を入れてくれていることを感じる。
私たちのこれまでの関わりが、このかたに受け入れてもらえた。
ほんのささいな取り組みかもしれないけどゆらゆらとしたあったかい燈火のような信頼関係が生まれたように感じました。
これが、最期かもしれないといつも心にとめてその一瞬一瞬をともに過ごしていく。
今回の、スマイルプランは、ご本人も私たち介護者も最高のスマイルプランとなりました。
明日も、明後日も、これからも精一杯のスマイルプランを提供していきますね。
Sさん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。