『心が動くと、身体も動く、ご本人本位の力を引き出すために』
6月22日は4人のご利用者様について立ち上がり、歩行や移動そして寝返りなどを見ていただきました。
私たちは、関わりが難しいかたの介助において、「実はご利用者様に試されているのでは」と思うときがあります。
介助者側が、一生懸命ケアを行っていても、「小手先の介助では、動かないよ」、「目を見て、想いを込めて、私を分かってくれるまで動かないよ」とでも言われているように、ご利用者様の笑顔と動きがなかなかつながりません。
今回実践ラウンドのご利用者様N氏は、ADL等の問題は特にありませんが、認知機能低下により、起床、立位、歩行、食事など全ての動作に意思の疎通が困難なかたです。
介護員は、動作を理解していただけるよう、いつも笑顔で全身を使って懸命に伝えますが、ご本人自身の動きにはつながらず、2名で介助することも多くありました。
今回、大堀先生は、『ご利用者様は、何をするのでも恐怖心でいっぱいなので、つねに身体のどこかに触れて本人が安心できる環境をつくることも良い方法ですよ』と指導してくださいました。
例えば、座ることの理解がつながらないかたの着座は、高い位置からドスンと座る危険性があるのでご利用者様の腰に腕を回し、一度腕の上に座ってもらうイメージで着座してもらってはどうか?まずは膝を曲げることの支援をしてからというアドバイスをいただきました。
これまで以上に介護経験や技術、そして介護者自身の身体をもフル活用して小手先のケアにならないよう、ご本人が安心できる環境をつくることが大切であると感じました。
当施設は、居住棟が2か所に分かれているため、棟ごとに現場実践を実施しましたが、実践中は、それぞれに逆棟の職員が、人事交流(相互研修)を兼ねて日常業務を行いました。
普段、関わる事のないご利用者様に戸惑いながらも、ケアを行い、他居住棟のケアについてすごく勉強になったと、これもまた良い研修となりました。今回の介護実技研修は、実習生も参加していただきましたが、大変有意義な実習になったと喜んでおられました。
心が動くことで、身体も動く、そして今後ますます行動が広がり生活が豊かになるように、心と心がつながる介護を目指していきます。